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【野球メンタルトレーニング】投手のコントロールが定まらない時のメンタル的対処法
執筆者:野球専門メンタルトレーナー 坂本祐二
試合中、投手のコントロールが乱れることはよくあります。どんなに優れた投手でも、コントロールが狂う瞬間は避けられません。しかし、そのときに適切なメンタル調整を行えば、すぐに修正することが可能です。
本記事では、投手の心理状態、指導者の適切な声掛け、そしてコントロールを瞬時に改善するメンタル的対処法について詳しく解説します。
1. 投手のコントロールが定まらない時の心理状態
投手が突如コントロールを乱した際の心理状態は、主に以下の3タイプに分かれます。
- イライラするタイプ:冷静さを欠き、力みが増してさらに制球が乱れる。
- 動揺するタイプ:不安からベンチに助けを求め、交代を意識し始める。
- 無責任なタイプ:諦めモードになり、無責任で投げやりなプレーをする。
どのタイプも冷静な思考で打者を抑えることが難しく、早急なメンタルケアが必要です。
2. 投手がコントロールを立て直そうとする間違った方法
多くの投手はコントロールを修正しようとする際に、以下のような行動をとりがちです。
- ピッチングフォームの微調整を試みる
- 手先だけでボールをコントロールしようとする
しかし、これらの対処法は逆効果になりがちです。試合中にフォームのことを考え過ぎてしまうと、ピッチングにズレが生じる恐れがあります。
専門用語ではこれを「内的集中」と言います。練習中に内的集中を使うことは有効ですが、試合中にはおすすめできません。
内的で広い集中:身体全体または考えを巡らせているときの集中
内的で狭い集中:身体の一部分や決断したときの集中
試合では「外的集中」が重要になります。
3. 指導者がついやってしまうNGな声掛け
指導者がよかれと思ってかける次のような言葉が、投手の集中を妨げることがあります。
- 「いいから腕を振れ!」
- 「逃げるな!」
- 「大丈夫だ!」
- 「打たせていけ!」
こうした言葉は、投手にとって「そんなことは分かっている」と反発を生み、さらなるプレッシャーを与えてしまいます。
実際に現役投手からも「打たせていこう!ストライク入れていこう!なんか言われたらイラっとしますよ。」と耳にすることもしばしばあります。
指導者は、事前に選手とコミュニケーションを取り、最適な声かけを準備することが重要です。
4. 【即効】コントロールを改善するメンタル的対処法
では、どのような声掛けが投手に効果的なのでしょうか?
その答えはシンプルです。
ココがポイント
「これから言うことだけを守るんだ。いいか!テンポよく投げていけ!」
この言葉を実践した投手は、コントロールを瞬時に改善し、試合の流れを立て直すことができました。
この声かけが効果的な理由は、外的集中を促すことにあります。
外的で広い集中:球場全体、チームメイト、相手チーム全体を見渡しているときの集中。緊張すると視野が狭くなり、これを使えなくなる傾向がある。 外的で狭い集中:ボールに集中しているときの集中。
実際に、ある指導者が投手3人に試したところ、3人ともコントロールが復活したという嬉しい報告がありました。しかも、試合中にです。
メンタルの声掛けは、投手のパフォーマンスを劇的に変えることができます。
もし「自分の声掛けに自信がない」と感じたら、ぜひ私にご相談ください。
5. まとめ
まとめ
- 投手のコントロールの乱れには心理状態の把握が重要。
- 指導者の声掛けは適切に行うことで、選手のパフォーマンスを向上させる。
- 「テンポよく投げていけ」の声掛けで即効改善。
6. 参考文献
Gabreele Wulf: 注意と運動学習-動きを変える意識の使い.P27-60, 市村出版, 2013
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