✅ この記事で分かること
- なぜエラーの後にミスが続くのか
- エラーを引きずる選手の共通点
- Circle of Concentrationを使った切り替え方
- 指導者・保護者の声かけのポイント
野球をしていると、誰でも一度はこんな経験があるのではないでしょうか。
- 「エラーした後、頭が真っ白になった」
- 「次のプレーでもミスをしてしまった」
- 「分かっているのに体が動かない」
練習では普通にできているのに、試合になるとエラーが続いてしまう。このような悩みは特別なものではありません。むしろ多くの選手が経験する、ごく自然な現象です。
💡 大切なのは、エラーは野球の能力や技術だけの問題ではないということです。
同じ技術レベルでも「引きずる選手」と「すぐ切り替えられる選手」がいます。その差を生むのが、心理状態です。
なぜエラーの後にミスが続いてしまうのか
野球は、他のスポーツと比べても失敗が目立つ競技です。サッカーやバスケットボールでは多少のミスが流れの中で消えることがありますが、野球ではエラーという形で結果がはっきり残ります。そのため、選手はミスを強く意識してしまいます。
エラーをした直後、頭の中では次のような思考が生まれます。
- 「やってしまった…」
- 「またミスしたらどうしよう」
- 「チームに迷惑をかけた」
こうした状態は、スポーツ心理学で反芻(はんすう)思考と呼ばれます。これは、同じ出来事を何度も頭の中で繰り返してしまう状態のことです。
反芻思考が起こると、選手の意識は「今」ではなく「過去」に向いてしまいます。本来、守備で重要なのは次のプレーへの準備ですが、意識が過去に向くことで準備が遅れ、次のプレーでもミスが起こりやすくなります。
さらに、不安や焦りは身体にも影響します。筋肉が緊張し、動きが硬くなり、一歩目が遅れたり、捕球姿勢が崩れたりします。
エラー → 反芻思考 → 集中低下 → 次のエラー
ミスが続くのは偶然ではなく、この流れが起きている可能性があります。
エラーを引きずる選手の共通点
これまで多くの選手を見てきた中で、エラーを引きずる選手にはいくつかの共通点があります。
① 完璧主義が強い
「絶対にミスしてはいけない」という思いが強いほど、1つのミスのダメージが大きくなります。
② ミスを自分の価値と結びつける
「自分はダメな選手だ」と考えると、自己効力感が下がり、次のプレーに消極的になります。
③ 意識が過去に向き続ける
ミス(失敗)したプレーを考え続けることで、次のプレーの準備が遅れます。
✅ 共通しているのは、「今」に戻れないことです。
切り替えのカギは「Circle of Concentration」
エラーを引きずらずにプレーするヒントになるのが、Circle of Concentration(集中の輪)という考え方です。
「ずっと集中する」のではなく、
「必要な瞬間だけ集中する」
多くの選手は「試合中はずっと集中しなければならない」と思っています。しかし、人間は長時間集中し続けることはできません。無理に集中し続けようとすると、かえって疲れ、集中力が落ち、ミスが増えやすくなります。定位置をサークル内に見立ててください。

🟢 輪の外=リラックス
- 深呼吸する
- 軽くジャンプするなど、体を動かす
- 様々な予測をする
🔵 輪の中=集中
- 覚悟を決めて輪に入る
- 自分の役割(やるべきこと)を明確にする
ポイントは、この2つを切り替えることです。
エラー後の正しい切り替え方
エラーをした後に大切なのは、すぐに集中しようとすることではありません。むしろ、いったん集中の輪の外に出ることが重要です。
- 深呼吸して力を抜く
肩や腕を軽く動かすだけでも、緊張した身体をリセットできます。 - 短いセルフトークを使う
「次、次!」「準備するぞ!」「大丈夫だ」など、短くてシンプルな言葉を使います。 - 次のプレーをイメージする
どこに打球が来たらどう動くかを頭の中で確認します。 - 投球のタイミングを見て輪の中へ入る
この瞬間は「覚悟」を決めて入ります。
✅ 切り替えに必要なこと
「過去の失敗を反省する」ではなく、「次のプレーを準備する」です。
ミスを引きずらない選手がやっていること
守備が安定している選手に共通しているのは、切り替えの速さです。ミスをしない選手ではなく、ミスの後の行動が早い選手が、結果的に安定したプレーをしています。
これは特別な才能ではありません。普段の練習から、エラー後のルーティンを決めておけば、試合でも自然に切り替えやすくなります。
指導者・保護者の関わり方

エラー後のメンタルは、指導者や保護者の関わり方にも大きく影響されます。
❌ NGな声かけ
- 「なんでミスしたんだ」
- 「今のはダメだろ」
- 「しっかりしろ」
✅ 良い声かけ
- 「大丈夫だよ」
- 「次、次!」
- 「次の一球に集中しよう」
大切なのは、選手の意識を過去ではなく次のプレーに向けることです。
まとめ|エラーはなくせないが、引きずらないことはできる
野球において、エラーを完全になくすことはできません。プロ野球選手であってもミスはします。しかし、エラーを引きずるかどうかはコントロールできます。
✅ 大切なのはこの3つです
- 一度リラックスすること
- 次のプレーを準備すること
- 今、この瞬間に集中すること
参考文献:大リーグのメンタルトレーニング ケンラビザ/トム・ヘンソン[著] 高妻容一/遠藤拓哉[訳]ベースボール・マガジン社
エラーは防げない。
でも、引きずらない技術は身につけられる。
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メンタルトレーニングに興味のある方へ
私は、中高大学生や社会人・プロ選手に対してメンタルトレーニングの指導を行っています。現場では、次のような悩みを多くいただきます。
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